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前歯だけをインプラントにできる?費用・期間・見た目や仮歯について解説

インプラント
前歯だけをインプラントにできる?費用・期間・見た目や仮歯について解説

「事故や虫歯で前歯を失ってしまったけれど、隣の健康な歯はできるだけ削りたくない」

「前歯を1本だけインプラントにしたいけれど、費用や期間はどれくらいかかるのだろう」

このように、前歯のインプラント治療を検討する際、見た目の仕上がりや手術、費用に不安を感じる方は少なくありません。

前歯1本だけでもインプラント治療は可能です。一般的な単独歯インプラントでは、ブリッジのように隣接する歯を支台として削る必要がありません。

ただし、上顎の前歯は骨や歯ぐきが薄いことがあり、口元の印象を左右する部位でもあるため、慎重な診断と治療計画が必要です。

本記事では、前歯インプラントの費用や期間、治療の流れ、仮歯、メリット・デメリットについて解説します。自分に合った治療方法を検討するために、前歯インプラントの特徴を確認していきましょう。

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前歯だけをインプラントにすることはできる?

前歯1本だけでもインプラント治療は可能です。

インプラントは、歯を失った部分の顎の骨に人工歯根を埋め込み、その上に人工歯を装着する治療です。1本単位で治療できるため、一般的な単独歯インプラントでは、隣接する歯を支台として削る必要がありません。

骨や歯ぐき、噛み合わせなどの条件が整っていれば、天然歯に近い見た目と機能の回復を目指せます。

ただし、適した治療方法は一人ひとり異なります。インプラントが適しているかどうかは、歯科用CTなどによる検査を受けたうえで判断します。

 

前歯インプラントが適しているケース

事故や虫歯、歯根破折などによって前歯を1本失い、両隣の歯が健康な場合、インプラントは有力な選択肢の一つです。

ブリッジでは、原則として失った歯の両隣を支台にするため、健康な歯であっても削る必要があります。一方、単独歯インプラントでは、失った部分を独立して補えるため、隣接する歯の切削を避けられます。

また、取り外し式の部分入れ歯に抵抗がある方や、前歯の見た目と安定性を重視したい方にも適した選択肢となる場合があります。

ただし、両隣の歯が健康であれば、必ずインプラントが適しているわけではありません。全身状態や骨・歯ぐきの状態、噛み合わせ、口腔衛生、喫煙習慣、費用、本人の希望などを踏まえて判断します。

 

前歯インプラントが難しいケース

重度の歯周病などによって顎の骨が大きく失われている場合、そのままインプラントを埋め込むことは困難です。インプラント体を安定して支える骨が不足しているためです。

骨が不足していても、GBR(骨再生誘導法)などの骨造成を併用することで治療できることがあります。ただし、骨不足の範囲や全身状態によっては骨造成が難しく、ブリッジや部分入れ歯が適しているケースもあります。

また、糖尿病などの全身疾患が十分に管理されていない方や、骨代謝に関係する薬剤を使用している方は、傷の治りや感染などのリスクを考慮しなければなりません。

持病や服用薬があっても、必ず治療を受けられないわけではありません。自己判断で薬を中止せず、主治医と歯科医師に相談しましょう。

 

前歯のインプラント治療が難しいといわれる理由

前歯のインプラント治療では、インプラント体を骨に固定するだけでなく、人工歯の色や形、歯ぐきのラインなども自然に整える必要があります。

前歯のインプラント治療が難しいとされる主な理由は、以下のとおりです。

・前歯部分の顎の骨は薄い傾向がある
・歯の色や形、歯ぐきのラインまで審美性が求められる
・歯ぐきが下がるとインプラントが目立つ可能性がある
・精密な三次元的位置の決定が必要になる

それぞれ詳しく解説します。

 

前歯部分の顎の骨は薄い傾向がある

特に上顎前歯部では、唇側、つまり口元側の骨が薄いことがあり、インプラントを適切な位置に埋め込むための骨量が不足しているケースがあります。

また、抜歯後は顎の骨や歯ぐきの形が変化します。抜歯から時間が経過している場合は、骨の幅や高さがさらに減少していることもあります。

骨が不足している場合は、骨補填材などを用いるGBRを、インプラント手術の前または同時に行います。実施する方法や時期は、骨不足の程度やインプラントの固定状態によって決まります。

 

歯の色や形、歯肉のラインまで審美性が求められる

前歯は会話や笑顔の際に目立ちやすいため、奥歯以上に見た目への配慮が求められます。

人工歯の色や透明感だけでなく、隣接する歯との大きさや形のバランス、歯ぐきから人工歯が立ち上がる形、左右の歯ぐきの高さなども仕上がりに影響します。

セラミックなどを用いて周囲の天然歯に近い色や形を目指せますが、最終的な見た目は、骨や歯ぐきの状態、インプラントの位置、人工歯の設計によって異なります。

 

歯肉が下がるとインプラントが目立つ可能性がある

歯ぐきが薄い場合や、治療後に歯ぐきが下がる歯肉退縮が起きた場合、インプラント体や人工歯との接続部分であるアバットメントの金属色が透けて見えることがあります。

歯ぐきがさらに下がると、インプラントの構成部品の一部が露出し、見た目に影響することもあります。

歯ぐきが下がる原因には、骨や歯ぐきの厚み、インプラントの位置、周囲の炎症、清掃状態などが関係します。

歯ぐきが薄い場合には、組織を移植して歯ぐきの厚みを補う処置を検討することがあります。

 

精密な三次元的位置の決定が必要になる

前歯では、インプラントを埋め込む位置、角度、深さが人工歯の見た目や清掃のしやすさに大きく影響します。

位置が適切でないと、人工歯が長く見える、歯ぐきのラインが不自然になる、歯磨きしにくくなるといった問題につながることがあります。

また、インプラントが口元側に寄りすぎると、骨や歯ぐきに悪影響を与えるおそれがあります。

そのため、歯科用CTなどで骨の形を三次元的に確認し、最終的な人工歯の位置から逆算してインプラントの埋入位置を計画することが重要です。

 

前歯だけをインプラントにするメリット

前歯だけをインプラントにする主なメリットは、以下のとおりです。

・健康な隣の歯を削らずに治療できる
・天然歯に近い自然な見た目を目指せる
・安定した状態で噛みやすい
・適切なメンテナンスによって長期間機能することが期待できる

それぞれ詳しく見ていきましょう。

 

健康な隣の歯を削らずに治療できる

前歯を1本失った場合、単独歯インプラントであれば、失った部分だけを独立して補えます。

一般的なブリッジのように両隣の歯を支台として削る必要がないため、健康な隣接歯の切削を避けられることがメリットです。

ただし、治療後も噛み合わせや清掃状態を定期的に確認する必要があります。

 

天然歯に近い自然な見た目を目指せる

インプラントでは、歯ぐきから人工歯が立ち上がる形を設計できます。

セラミックなどを用いて周囲の歯に色や形を合わせることで、天然歯に近い見た目を目指せます。

ただし、仕上がりは、骨や歯ぐきの状態、インプラントの位置、人工歯の設計によって異なります。

 

安定した状態で噛みやすい

インプラント体は顎の骨に固定されるため、取り外し式の部分入れ歯に比べて動きにくく、食べ物を噛み切りやすいことが特徴です。

ただし、天然歯には噛んだ力を感知する歯根膜がありますが、インプラントには歯根膜がありません。そのため、噛んだときの感覚が天然歯と完全に同じになるわけではありません。

人工歯の形や歯ぐきの状態によっては、食べ物が挟まることもあります。治療後は、適切な清掃方法について指導を受けましょう。

 

適切なメンテナンスによって長期間機能する可能性がある

インプラントは、毎日のセルフケアと歯科医院での定期的なメンテナンスを続けることで、長期間機能することが期待できます。

長期的な研究でも、多くのインプラントが10年以上維持されていることが報告されています。

ただし、インプラント体が顎の骨に残っていても、人工歯の破損やネジの緩みによって、修理や交換が必要になることがあります。

インプラントを長く使用するためには、治療後も継続して状態を管理することが大切です。

 

前歯だけをインプラントにするデメリット・リスク

前歯のインプラントには多くのメリットがある一方、外科手術や費用、治療期間などの負担もあります。

治療前に確認しておきたい主なデメリットとリスクは、以下のとおりです。

・外科手術を受ける必要がある
・原則として保険が適用されず費用が高い
・治療完了までに数か月かかる
・歯ぐきが下がって金属部分が目立つ可能性がある
・インプラント周囲炎になる可能性がある

1つずつ説明します。

 

外科手術を受ける必要がある

インプラント治療では、顎の骨にインプラント体を埋め込む外科手術が必要です。

通常は局所麻酔を使用して手術中の痛みを抑えますが、圧迫感や振動を感じることがあります。麻酔の効き方や痛みの感じ方には個人差があります。

手術後には、痛み、腫れ、出血などが生じることがあります。また、頻度は高くないものの、感染などの合併症が起こる可能性もあります。

症状が強い場合や長引く場合は、治療を受けた歯科医院へ相談してください。

 

原則として保険が適用されず費用が高い

インプラント治療は、一定の症例要件と施設要件を満たす場合を除き、原則として公的医療保険が適用されない自由診療です。

費用は全額自己負担となり、医療機関によって料金が異なります。

精密検査、仮歯、骨造成、歯ぐきの移植、鎮静、治療後のメンテナンスなどが別料金になる場合もあります。

契約前に、治療完了までの総額と追加料金が発生する条件を確認しましょう。

 

治療完了までに数か月かかる

インプラント治療では、埋め込んだインプラント体と顎の骨が結合するまでの治癒期間が必要です。

治療期間は、骨や歯ぐきの状態、抜歯とインプラント手術のタイミング、骨造成の有無などによって異なります。

骨の状態が良好な場合でも、治療完了までに数か月かかることがあります。骨造成や歯ぐきの移植などが必要な場合は、半年以上かかることもあります。

 

歯肉が下がって金属部分が目立つ可能性がある

前歯の歯ぐきが下がると、インプラント体やアバットメントの金属色が透けたり、構成部品の一部が露出したりすることがあります。

特に、もともとの歯ぐきが薄い方や、口元側の骨が少ない方、インプラントの位置が適切でない場合は、見た目の問題が生じやすくなります。

治療前に骨や歯ぐきの状態を確認し、必要に応じて骨造成や歯ぐきの移植を検討することが重要です。

 

インプラント周囲炎になる可能性がある

インプラントは人工物であるため虫歯にはなりませんが、周囲の歯ぐきや骨に炎症が起こることがあります。

炎症が進行してインプラント周囲炎になると、インプラントを支える骨が失われ、最終的にインプラントを撤去しなければならないことがあります。

歯周病の既往、清掃状態の不良、メンテナンス不足などは、インプラント周囲炎のリスクに関係します。

毎日のセルフケアと歯科医院での定期的なメンテナンスを継続しましょう。

 

前歯のインプラント治療にかかる費用相場

前歯のインプラント治療は原則として自由診療であり、全国一律の料金はありません。

以下で紹介する金額は参考例であり、歯科医院や治療内容によって大きく異なります。

費用を比較する際は、金額だけでなく、検査、仮歯、人工歯、追加処置などが料金に含まれているかを確認してください。

治療費には、以下の費用が含まれることがあります。

・診察料、精密検査料
・インプラント体の費用
・インプラント手術の費用
・アバットメントの費用
・人工歯の費用
・仮歯の費用
・術後の診察料

一方、骨造成、歯ぐきの移植、鎮静、メンテナンスなどが別料金になる歯科医院もあります。

実際の費用は、検査後に提示される見積もりで確認しましょう。

 

前歯1本の費用

前歯1本のインプラント治療では、検査、手術、人工歯などを含め、総額30万~60万円程度です。

骨造成や歯ぐきの移植が必要になると、追加費用が発生します。

「インプラント1本○万円」という表示だけで判断せず、治療完了までに必要な総額を確認しましょう。

 

前歯2本の費用

2本のインプラントを使用する場合は、60万~120万円程度が一つの参考になりますが、単純に1本分の費用を2倍した金額になるとは限りません。

人工歯の設計、仮歯、骨造成などによって総額が変わるため、治療方法ごとに見積もりを確認しましょう。

 

前歯4本の費用

前歯4本の費用は、治療設計によって大きく異なりますが、70万~200万円程度となります。

前歯を4本失っている場合でも、すべての欠損部分に1本ずつインプラントを埋め込むとは限りません。

複数本のインプラントで連結した人工歯を支える、インプラントブリッジを選択することもあります。

必要なインプラントの本数や配置は、欠損位置、骨量、噛み合わせ、清掃のしやすさなどを踏まえて決定します。

 

前歯は奥歯より費用が高くなる?

前歯と奥歯の基本料金を同じに設定している歯科医院もあります。

一方、前歯では、周囲の歯に合わせた審美性の高い人工歯を使用したり、骨造成や歯ぐきの移植を行ったりすることがあります。

追加処置が必要になった結果、前歯の治療費の総額が奥歯より高くなる場合があります。

部位だけではなく、必要な治療内容によって費用が変わると理解しておきましょう。

 

医療費控除を利用できる場合がある

治療を目的として行うインプラントの費用は、一定の条件を満たすと医療費控除の対象になることがあります。

医療費控除とは、その年に本人や生計を同じくする家族のために支払った医療費が一定額を超えた場合に、所得控除を受けられる制度です。

治療費だけでなく、公共交通機関を利用した通院費が対象になる場合もあります。

領収書や通院の記録を保管し、対象となる金額や申告方法については、税務署や税理士などに確認してください。

 

前歯のインプラント治療にかかる期間と流れ

前歯のインプラント治療は、検査から最終的な人工歯の装着まで数か月かかることが一般的です。

骨の状態が良好で、抜歯後の待機や追加処置が不要な場合は、3~7か月程度が一つの目安になります。骨造成や歯ぐきの移植などを行う場合は、半年から1年以上かかることもあります。

実際の期間は、骨や歯ぐきの状態、抜歯とインプラント手術のタイミング、傷の治り方によって異なります。

一般的な治療の流れは以下のとおりです。

・精密検査と治療計画の作成
・抜歯とインプラント手術
・インプラントと骨が結合するまでの治癒期間
・型取りと人工歯の作製
・人工歯の装着と噛み合わせの調整

1つずつ解説します。

 

精密検査と治療計画の作成

最初に、虫歯や歯周病の状態、噛み合わせ、全身状態などを確認します。

歯科用CTでは、前歯部分の顎の骨の厚みや高さ、周囲の構造などを三次元的に調べます。必要に応じて、口腔内スキャンや写真撮影なども行います。

検査結果をもとに、インプラントの位置や角度、骨造成の必要性、仮歯の種類、治療期間、費用などを含む治療計画を作成します。

疑問や不安がある場合は、手術前に確認しておきましょう。

 

抜歯とインプラント埋入手術

保存できない前歯が残っている場合は、抜歯を行います。

症例によっては、抜歯と同じ日にインプラントを埋め込む「抜歯即時埋入」を行うことがあります。一方、抜歯後に歯ぐきや骨が治るのを待ってから、インプラントを埋め込む場合もあります。

どのタイミングが適しているかは、感染の有無、骨の状態、歯ぐきの厚み、インプラントを埋め込んだ直後の固定状態などによって判断します。

 

インプラントと骨が結合するまでの治癒期間

インプラント体を埋め込んだ後は、顎の骨と結合するまで治癒期間を設けます。

必要な期間は、治療部位、骨の状態、インプラントの固定状態、骨造成の有無などによって異なります。

治癒期間中は定期的に通院し、傷の治り、インプラントの状態、口腔内の清掃状態などを確認します。

仮歯を装着している場合でも、治癒を妨げないよう、前歯で硬い物を噛まないよう指示されることがあります。

 

型取りと人工歯の作製

インプラントと骨の結合を確認した後、最終的な人工歯を作るための型取りや口腔内スキャンを行います。

前歯では、周囲の天然歯の色や透明感、大きさ、形、歯ぐきのラインなどを考慮して人工歯を設計します。

必要に応じて仮歯の形を調整し、人工歯が歯ぐきから自然に立ち上がる形を整えることもあります。

 

人工歯の装着と噛み合わせの調整

完成した人工歯をインプラントに装着し、見た目や噛み合わせを確認します。

前歯は食べ物を噛み切るだけでなく、発音や顎を動かす際のガイドにも関係します。

そのため、上下の歯の接触だけでなく、顎を前後左右に動かしたときの噛み合わせも調整します。

装着後は、インプラント周囲炎や人工歯の破損を防ぐため、定期的なメンテナンスへ移行します。

 

前歯のインプラント治療中に歯がない期間はある?

前歯では治療中の見た目に配慮し、仮歯を使用することが一般的です。

ただし、すべての症例で抜歯当日や手術当日から、インプラントに直接固定する仮歯を装着できるわけではありません。

使用できる仮歯は、骨量、インプラントの固定状態、感染の有無、噛み合わせ、手術内容によって決まります。

手術当日に固定式の仮歯を使用できない場合は、隣接歯に接着する仮歯や取り外し式の仮歯で見た目を補うことがあります。

 

手術当日にインプラントへ仮歯を装着できるケース

インプラントが骨に十分固定され、噛み合わせなどの条件を満たす場合は、手術当日にインプラントへ固定する仮歯を装着できることがあります。

ただし、仮歯が入っていても、天然歯と同じように前歯で硬い物を噛めるわけではありません。

治癒を妨げないよう、仮歯が上下の歯と強く接触しないように調整したり、前歯で硬い物を噛まないよう指示したりすることがあります。

 

インプラントへ仮歯を装着できないケース

インプラントの固定状態が十分でない場合や、大きな骨造成を行った場合などは、インプラントへ直接仮歯を固定できないことがあります。

その場合は、隣の歯に接着する仮歯や、取り外し式の仮歯などを使用して見た目を補います。

口腔内の状態や手術内容によっては、短期間でも仮歯を装着できないことがあります。

治療中に歯がない期間が生じる可能性や、予定している仮歯の種類について、治療前に確認しておきましょう。

 

仮歯を使用している間の注意点

仮歯は、最終的な人工歯よりも耐久性が低いことがあります。強い力が加わると、外れたり割れたりする可能性があるため、以下の点に注意しましょう。

・前歯で硬い食品を噛まない
・粘着性のある食品を避ける
・仮歯の周囲を丁寧に清掃する
・舌や指で繰り返し触らない
・外れたり割れたりしても自分で接着しない
・違和感や強い痛みがある場合は歯科医院へ連絡する

具体的な食事や清掃方法は、治療を受ける歯科医院の指示に従ってください。

 

前歯だけのインプラント治療ができない・難しいケース

前歯のインプラントは、すべての方に適用できるわけではありません。

骨や歯ぐき、全身状態、生活習慣などによっては、治療前の処置が必要になったり、別の治療方法が適していたりすることがあります。

治療が難しくなる主なケースは、以下のとおりです。

・インプラントを支える骨が大きく不足している
・活動性の歯周病や未治療の感染がある
・全身疾患の状態によって手術のリスクが高い
・骨代謝に関係する薬剤を使用している
・喫煙習慣や口腔ケアに問題がある
・治療後のメンテナンスを継続することが難しい

 

インプラントを支える骨が大きく不足している場合

顎の骨の厚みや高さが不足していると、そのままではインプラントを適切な位置に埋め込めないことがあります。

骨造成によって治療できる場合もありますが、骨欠損の程度や全身状態によっては、十分な骨量を確保することが難しいケースもあります。

骨造成には、追加の手術、治療期間、費用が伴います。

治療によって期待できる効果と負担の両方について説明を受け、治療方法を検討しましょう。

 

重度の歯周病や虫歯がある場合

活動性の歯周病や未治療の感染がある場合は、炎症や感染を十分に管理してからインプラント治療を検討します。

歯周病の既往がある方は、インプラント周囲炎のリスクが高くなることがあります。治療後も良好な清掃状態を保ち、定期的なメンテナンスを続けることが重要です。

手術前には、感染や炎症がインプラント治療に支障を与えない状態まで管理されているかを確認します。

 

全身疾患の状態によって手術が難しい場合

糖尿病、高血圧、心疾患などがあっても、病状が安定し、必要な安全対策を行えると判断されれば治療できることがあります。

一方、病状のコントロールが不十分な場合は、感染、出血、傷の治りなどに関するリスクが高まります。そのため、治療を延期したり、別の方法を選んだりすることがあります。

持病がある方は、病名、治療状況、服用薬を歯科医師へ正確に伝えましょう。

必要に応じて、かかりつけ医と歯科医師が連携して治療の可否を判断します。

 

骨代謝に関係する薬剤を使用している場合

骨粗しょう症やがんの治療で、骨の代謝に関係する薬剤を使用している場合は注意が必要です。

治療リスクは、薬剤の種類、投与方法、用量、使用期間、使用目的などによって異なります。

薬剤を使用していてもインプラント治療が可能な場合はありますが、顎骨壊死などのリスクを考慮した慎重な判断が必要です。

自己判断で薬を中断せず、処方医と歯科医師の両方に相談してください。

 

喫煙習慣や口腔ケアに問題がある場合

喫煙は血流や傷の治りに悪影響を与え、インプラントの治療経過や周囲組織の状態に影響することがあります。

また、毎日の清掃が不十分な場合や、定期的なメンテナンスを継続できない場合は、インプラント周囲炎のリスクが高くなります。

喫煙している方がインプラント治療を検討する場合は、治療前から禁煙について歯科医師に相談しましょう。

 

インプラントが難しい場合に検討される代替治療

インプラント治療が難しい場合は、ブリッジや部分入れ歯などで前歯を補います。

一般的なブリッジは固定式で違和感が少ない一方、原則として両隣の歯を削る必要があります。

接着性ブリッジは、一般的なブリッジよりも歯を削る量を抑えられることがありますが、適応できる症例は限られます。

部分入れ歯は外科手術を必要としませんが、取り外しや装置の違和感が生じることがあります。ノンクラスプデンチャーは、金属製のバネが目立ちにくい部分入れ歯です。

歯を削る量、手術の有無、費用、治療期間、見た目、メンテナンスなどを比較し、自分に合う方法を選びましょう。

 

前歯だけのインプラントに関するよくある質問

前歯のインプラント手術に痛みはありますか?インプラント手術は通常、局所麻酔を使用して行うため、手術中の痛みは抑えられます。

ただし、圧迫感や振動を感じることがあり、麻酔の効き方や痛みの感じ方にも個人差があります。

手術後には痛みや腫れが生じることがあります。強い痛みや腫れ、出血が続く場合は、治療を受けた歯科医院へ相談してください。

 

前歯1本のインプラント治療は何か月かかりますか?

骨や歯ぐきの状態が良好で、追加処置が不要な場合は、3~7か月程度が一つの目安です。

抜歯後の治癒を待つ場合や、骨造成などを行う場合は、半年以上かかることもあります。

実際の期間は、検査後に提示される治療計画で確認してください。

 

前歯のインプラント治療中に歯がない期間はありますか?

前歯では見た目に配慮し、接着式や取り外し式を含む仮歯を用意することが一般的です。

ただし、すべての症例で手術当日から仮歯を使用できるとは限りません。

インプラントへ直接固定する仮歯を装着するには、十分な固定状態などの条件が必要です。治療中に歯がない期間が生じる可能性や、仮歯の種類について事前に確認しましょう。

 

顎の骨が薄くてもインプラント治療はできますか?

顎の骨が薄い場合でも、GBRなどの骨造成を併用することで治療できることがあります。

ただし、骨不足の程度や歯ぐき、全身状態によっては、骨造成を行ってもインプラント治療が難しい場合があります。

治療できるかどうかは、歯科用CTなどで骨の厚みや高さを調べたうえで判断します。

 

前歯のインプラントは奥歯より高くなりますか?

前歯と奥歯の基本料金を同じに設定している歯科医院もあります。

一方、前歯では審美性を考慮した人工歯、骨造成、歯ぐきの移植などが必要になり、結果として総額が奥歯より高くなることがあります。

部位だけではなく、必要な処置と歯科医院の料金体系によって費用が決まります。

 

前歯のインプラントは何年くらい使用できますか?

適切なセルフケアと定期的なメンテナンスを続けることで、長期間機能することが期待できます。

ただし、口腔衛生、喫煙、噛み合わせ、歯ぎしりなどによって経過は異なります。

インプラント体が残っていても、人工歯の修理や交換が必要になることがあります。

 

抜歯と同時にインプラントを入れることはできますか?

抜歯と同じ日にインプラントを埋め込む「抜歯即時埋入」を行える場合があります。

条件が整った症例では、治療期間や手術回数を減らせることがあります。

ただし、感染の状態、残っている骨の量、歯ぐきの状態、インプラントの固定状態などによっては適用できません。

また、抜歯即時埋入を行っても、抜歯後の骨や歯ぐきの変化を完全に防げるわけではありません。骨造成や歯ぐきの移植が必要になることもあるため、適応条件とリスクについて説明を受けましょう。

 

まとめ|前歯だけのインプラントは見た目と治療計画を重視して検討しよう

前歯1本だけでもインプラント治療は可能です。

一般的な単独歯インプラントでは隣接する歯を削る必要がなく、天然歯に近い見た目や安定した噛みやすさを目指せます。

一方、前歯は骨や歯ぐきが薄いことがあり、見た目にも高い配慮が必要です。また、外科手術や数か月の治療期間、自由診療による費用負担が伴います。

仮歯を使用できる時期や追加処置の必要性も、患者ごとに異なります。

治療を検討する際は、インプラントだけでなく、ブリッジや部分入れ歯も含めて比較しましょう。

費用の総額、治療期間、仮歯、リスク、保証、メンテナンスについて十分な説明を受け、納得したうえで治療方法を選ぶことが大切です。

 

監修者 山田 嘉宏(やまだ よしひろ)

前歯だけをインプラントにできる?費用・期間・見た目や仮歯について解説

医療法人社団隆嘉会 ソレイユデンタルクリニック 理事長

1990年 昭和大学歯学部 卒業
1990~1992年 東京医科歯科大学補綴科 勤務
1992~1993年 茨城県友部歯科診療所 勤務
1993~1999年 品川区共立歯科 分院長 勤務
1999~2003年 よしひろ歯科クリニック 開院
2003年 医療法人社団隆嘉会 よしひろ歯科クリニック 開院
2014年 医療法人社団隆嘉会ソレイユデンタルクリニック 開院

 

資格

・厚生労働省認定歯科医師臨床研修指導医
・日本口腔インプラント学会専門医
・IDIA(国際歯科インプラント協会/旧 ADIA(アメリカ歯科インプラント協会))専門医/指導医
・DGZI(ドイツ口腔インプラント学会)専門医/指導医
・ISOI(国際口腔インプラント学会)専門医/指導医
・ICOI(国際口腔インプラント学会)認定医
・日本臨床歯周病学会歯周病認定医

 

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